秋の深まりを感じるこの時期、空気の乾燥からくるお肌のカサつき、喉のイガイガ、咳などが気になる人も多いのはないでしょうか。
体の中の水分が失われ、肌だけでなく、粘膜も乾燥しやすくなっている状態です。体の内側から潤いが足りなくなると、肌のハリがなくなり、肌がカサカサして痒くなったり、のどが痛くなったりするので、体内の水分を保つことが大切です。
秋の潤い不足がもたらすのは肌や喉の不調だけじゃない!
秋は夏の暑さで消耗した体に、乾燥が加わり、体調を崩しやすい季節です。東洋医学では秋は「肺」の季節といわれ、この時節は風邪や咳、のどの不調といった呼吸器系のトラブルが出やすくなります。
また、「潤い」はホルモンバランスにも影響を与えやすく、月経周期の乱れやPMS(月経前症候群)の悪化につながることも。乾燥で失われた「潤い」を補い、表面的な症状だけでなく、体内のつらい症状も含め、目を向けていきましょう。

乾燥対策におすすめの漢方薬3選
1. 麦門冬湯(ばくもんどうとう):体の潤いが不足しがち。空咳や痰が切れにくい、喉の乾燥、肌の乾燥が気になるタイプ
2. 温経湯(うんけいとう):冷えや血の巡りが滞りがちで、月経不順、PMSの悪化、冷えによる肌の乾燥や、手足の冷えがあるタイプ
3. 当帰飲子(とうきいんし):血が不足しがちで、皮膚が乾燥しやすく、かゆみのある乾燥肌、手足の冷え、めまいや立ちくらみがあるタイプ
1.麦門冬湯(ばくもんどうとう)
喉や肺の乾燥を潤し、咳や切れにくい痰の悩みを和らげます
こんな症状に:
・空咳が続く、痰が切れにくい
・顔があかくなるくらい激しく咳込む
・喉が乾燥してイガイガする
・肌や唇の乾燥が気になる
含まれる生薬:門冬、半夏、粳米、大棗、甘草、人参
体の潤いを補い、特に喉や肺の乾燥を改善する働きがあります。体を潤すことで熱を冷まし、激しい咳を鎮める効果も期待できます。
2.温経湯(うんけいとう)
冷えによる体の不調や肌の乾燥を改善し、血の巡りを良くします
こんな症状に:
・生理不順やPMSがひどい
・下腹部痛、月経痛がある
・手足が冷えやすい、体が冷えやすい
・下腹部痛、月経痛がある
・肌の乾燥やかさつき、くすみが気になる
含まれる生薬:当帰、桂枝、芍薬、川芎、甘草、牡丹皮、生姜、人参、半夏、麦門冬、呉茱萸、阿膠
体の冷えを取り除き、血の巡りを良くすることで、女性特有の悩みに対応します。肌に栄養を与え、乾燥や荒れを改善する効果も期待できます。
3. 当帰飲子(とうきいんし)
乾燥によるかゆみや肌荒れを鎮め、血を補って体の内側から潤いを与えます
こんな症状に:
・肌のかゆみがひどく、乾燥している
・手足が冷えやすい
・体力が低下して、疲れが慢性化している
・血の巡りが悪く、顔色がすぐれない
含まれる生薬:当帰、芍薬、川芎、蒺藜子、防風、地黄、荊芥、黄耆、何首烏、甘草
血を補い、血の巡りを良くすることで、乾燥によるかゆみや肌荒れを改善します。体の内側から潤いを与え、元気を取り戻すのを助けます。
秋の乾燥対策に潤う漢方薬で体調を整えよう
秋の乾燥は、肌や体の内側にも影響を与え、この時期は関谷のどの不調、月経周期の乱れ、PMSの悪化などを引き起こしやすくなります。漢方では、これらの不調を体の「証」に合わせて、失われた「潤い」を補ったり、血の巡りをよくしたりすることで改善していきます。自己判断せず、漢方に詳しい医師に相談しながら、自分にぴったりの漢方薬を見つけて、体の症状にあわせた対策が必要です。
自分に合った漢方薬を見つけることで、乾燥に負けない健やかな秋を過ごしましょう。



