たかが便秘されど便秘、トイレの憂鬱を漢方で対策
便秘は、肌荒れや吹き出物といった肌トラブルだけでなく、お腹の張りや不快感、気分が優れない、イライラするといった心の不調まで引き起こすことがあります。腸内環境が乱れると、体に必要な栄養素の吸収が悪くなったり、老廃物が溜まりやすくなったりするため、体全体に悪影響を及ぼしてしまうのです。毎日を健やかに過ごすためにも、便秘対策はとても重要です。
秋の便秘は「冷え」と「乾燥」にご用心
気温が下がり、体が冷えやすくなるこの時期は、空気が乾燥し始めるため、便も硬くなりがちです。月経周期が乱れたり、PMSが悪化したりしやすく、便秘も起こりやすい傾向があります。漢方では「気血の巡り」や「腸の潤い」を整え、体質に合った方法で便秘をやわらげます。

便秘におすすめの漢方薬3選
1. 麻子仁丸(ましにんがん):腸の潤い不足で、便が硬く、コロコロして出にくいタイプ
2. 桃核承気湯(とうかくじょうきとう):月経に伴う血の滞りでお腹が張る便秘タイプ
3. 大建中湯(だいけんちゅうとう):お腹が張って冷えやすく、軽い便秘のタイプ
1.麻子仁丸(ましにんがん)
便が硬くて出にくい方に。腸に潤いを与え、スムーズな排便をサポート
こんな症状に:
・便が硬い、コロコロ便
・便意はあるのに出にくい
・肌が乾燥しやすい
含まれる生薬:麻子仁、大黄、杏仁、芍薬、枳実、厚朴
腸に潤いを与え、硬い便を柔らかくしてスムーズな排便を促します。体力が低下していて乾燥体質の人や、便意はあるのに出にくい人、コロコロ便の人におすすめ。
2.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
血の巡りを整えて、月経前後の便秘やお腹の張りを改善
こんな症状に:
・月経不順や月経痛がある
・月経周期に合わせて便秘や腹痛が出やすい
・イライラやのぼせ、頭痛を伴うことがある
・顔の赤みやほてりが強い
含まれる生薬:桃仁、大黄、桂枝、芒硝、甘草
血の巡りを良くしながら腸の働きを高め、便通を促します。月経に伴う便秘や、のぼせ・イライラを伴うタイプに適しています。
3.大建中湯(だいけんちゅうとう)
お腹の冷えや膨満感に。腸の動き改善し、お腹を温めて、軽い便秘やお腹の不快感を改善
こんな症状に:
・お腹が冷えやすい
・お腹が張る(腹部膨満感)
・ガスが溜まりやすい ・軽い便秘
・お腹がゴロゴロ鳴る、食欲不振
含まれる生薬:山椒、乾姜、人参、膠飴
お腹を温めて腸の動きを活発にし、冷えやガスによるお腹の張りを和らげます。便秘、下痢などの便通だけでなく全体的な胃腸の調子を整えます。
秋の冷えと乾燥に合わせた便秘ケアを
冷えや乾燥、そして月経周期の変化で便秘が悪化しやすい時期です。漢方では、こうした季節や体の状態による根本的な原因に「証(体質や状態)」に合わせてアプローチします。自分に合った漢方薬を見つけ、早めにケアを始めることで、つらい便秘を改善し、健やかな毎日を取り戻しましょう。自己判断せず、専門家にご相談ください。



